野球、メキシコ、WBC

マーク・ワインガードナー『メジャーリーグ、メキシコへ行く―メキシカンリーグの時代』

ひさびさに愉快な小説を読んだ。
第二次世界大戦後、まだ黒人がメジャーリーグから締め出されていた時代に、
メキシコのリーグが多くの選手を引き抜いて盛り上がったというお話。
あくまでもフィクションだが、かなり事実に基づいて書いているらしい。
金や人種をめぐるあれこれのなかに、
純粋に丸いボールを追いかける野球の楽しさがチラリと見える、
そんな瞬間があちこちにある。
アメリカ人が書いたにしては、メキシコの描写もよくできている。

この本を手に取ったのは、WBCの影響がないとはいえない。
あれは、がっかりだった。
カリブ海のチームをもっと見たかったのだ。
なぜ、日韓戦を3回も見なければならないのか。
一説によれば、あれはアメリカが優勝する前提で組まれたトーナメント方式とのことだが、
まあ確かに、野球はカリブ海が主戦場で、太平洋はどうでもいいのかもしれない。

実は、もっとがっかりだったのは、イチローだ。
私はこの選手があまり好きではなかったのだが、
今回の騒ぎで、すっかり嫌になってしまった。
そう、この本はイチローとは対極の世界にいる選手がたくさん出てくる。
日本でいえば、新庄とかがまあ近いのかな……。

残念ながら、メキシコで野球を見たことはないのだが、
サッカーの試合は一度だけ見た。かの有名なアステカ・スタジアムではなく、
もっと小さな球場。アトランテ対タンピコという、かなりどうでもいい試合だった。
あれ、よかったなあ。


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