本を読む人


本を読んでいる人を見ると少し不安になる。魂を吸い取られたような顔をしているし、じっと見つめてもこちらに気づくことはない。何を読んでいるのか、読 んでどんな気持ちなのか尋ねてみたい気もするのだが、声をかけて顔を上げてしまえば、先ほどまでのミステリアスな表情はどこへやら。読んでいる本の題名を 見せてもらったところで、こちらにはちっとも興味がない。知りたいのは、読んでいるときのあなたなんだ、とでも言いたくなる。
左の写真は近々創刊されるフリーマガジン「抄」の取材時に撮ったもの。小学生にお勧めの本を訊いたのだが、ちょっと目を離すとすぐに本を読み始める。それほど本が好きなのか?
そういえば、本を読みながら、目を上げることが多くなった気がする。同じようなことを知り合いは、あと数頁なのに栞を挟んで別のことをするようになった、と言った。幸せになったような、不幸になったような、微妙なところである。(2002.7.7)


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