アフガニスタンのラジオ

昨年の末、オーディオ機器を衝動買いした。ネットワークオーディオプレイヤーというらしい。
リビングのいつものオーディオセットとパソコンのネットワークをつなぐイメージなのだが、こんなものが本当に必要なのかは怪しいし、ハードとしてはともかく、ソフトの使い勝手が悪く、思っていたほど便利ではない。

とはいえ、これを買ったことにより、今までになかった習慣がひとつ生まれた。夜、読書しながらアフガニスタンのインターネット・ラジオを聞くのだ。
とはいえインターネット・ラジオにこの機械がどうしても必要という訳でもないので、成り行きというか、偶然これがしっくりきたというだけの話。
アフガニスタンの局が気に入ったのも、ごくごくいい加減な理由で、たぶんアジアのアフガニスタンで両方Aではじまるから、上のほうにあったに違いない……。

しかし、私はかなりショックを受けている。
聞くたびに驚くし、楽しいし、笑えるし、びっくりするし、感動する。
ラップやソウル、ロックやラテンなども貪欲に吸収しつつ、根っこにあるのはインドやペルシャ・アラブ系の音楽らしい。でも、たぶん音楽のスタイルとか、そういう問題じゃないのだ。
それよりも、音楽への切実な欲求みたいなものをひしひしと感じる。

小さな想像力をふりしぼって、こういう音楽を生んだかの地の厳しい状況を考えると、恐ろしい。
ちょっとネットを調べただけでも、たとえば田中宇氏によるこんなレポートがある。
http://tanakanews.com/a0601afghan3.htm

検問所の脇には、土に刺した棒の先に長いテープが巻き付けられ、はためいていたりする。タリバンの兵士が「見せしめ」のため、没収したカセットからテープを全部引き出し、もつれた毛糸の玉のようにして、棒の先につけて立てたのだろう。砂漠の快晴の空の下、日光を反射してテープがきらきらとはためく光景は、幻想的だ。アフガニスタンでは、お墓の上に金銀のモールをつけておく習慣があり、この「音楽の墓場」は、それとも似ている。

ネットラジオなのでミュージシャンの名前はわかるが、歌の詳細などその他はさっぱり分からない。
このレポートなどを参考に想像してみると、かなり馬鹿馬鹿しい歌が多いのではないかと思う。
でも、ときどき読書を忘れてしまうほどに夢中になって聞いてしまうことがある。

ちなみに私が毎度きいているのは、BakhtarRadio.comというラジオ局。いろいろ聞き比べた訳ではないので、他にももっといいのがあるかもしれない。
ただ、そういうちょっとした違いは、たぶんあまり重要じゃないという感じもする。


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