copyright by wakisaka fumihiko
唖鳥は悩んだ…
自分は昔のようには
歌えないのだろうか…
昔はその一声で天上の使いを呼びよせ
また時には魔界の異形を喚(よ)んで
人を驚かせたものだ…
と唖鳥は記憶を多少誇張して嘆いた
ああ あの日々と同じ 陽はまた昇り そして沈むのに
この胸には今も変わらぬ
歌うことへの情熱があるのに
何より自分の歌を聴かせたい
若い雌鳥達がそこらにいるのに!
発情した雄鳥は頭に血を上らせ
そしてその血で血迷った
チュン ピヨピヨ
チュン ピヨピヨ
アーホー
チュン ピヨピヨ
チュン ピヨピヨ
アーホー
チュン ピヨピヨ
チュン ピヨピヨ
モア:よく聞け…
枯れた才能は蘇らせることができるが
滅びた鳥は…還らない
鴛鴦(おしどり):わかった君の声忘れないよ
そして命のある限り歌を伝えていくよ
いつの間にか鴛鴦は喋り
そしてモアはそれきり黙ったままでした