十五夜

copyright by wakisaka fumihiko


太陽は思った
メソポタミアが復興する日はいつだろうか…
昼も夜も彼は想いを募らせた
メソポタミアに住む人々の
雑踏
野菜売りの声
きれいなおばはんがサンダルで歩き
コギャルたちはクサビ型プリクラに夢中になっていた




太陽が物事を考えすぎると頭に血が昇って
大地の生き物という生き物を苦しめるのだった




そこで人々は太陽の物想いを解消するために
メソポタミア文明が復興したかのようにその暮しを変えた




そして太陽の沈み去った夜の間に現代文明を続行させ
なんとか生活を守っていたのだった




一方、竹取の翁はそれはもうびっくりして腰が抜けるほどだった
(*昔の老人は足腰が強かった)

「それじゃワハハ失礼します ガンバッテね じゃドーモ」
「それじゃドーモ」

「あっドーモ お客様は?」
「あちらのロビーの方でお待ちになっております」




「いやー、ドーモすいません 手違いがあったようでして
本当に申し訳ありませんですが」



「あの、こちら名刺です お受とりください
いやー かぐや姫の件なんですが
担当の者は7階のほうになっておりますが」

実は担当の者が貧血で先日入院しまして
あの本当に申し訳ございません
あの恐縮なんですが来月以降という形で…
ええ、誠に申し訳ないんですが
ですから恐縮ですが
後日、来期以降にまた一度来て頂くということに


ええ9月末…
10月には必ず、ええ
ちゃんと間に合うようにいたします
よろしいでしょうか…
ええ申し訳ございません…
全くのこちらの手違いでして…
ええ私は望月と申しますが
はい、担当の者も来週には退院できますそうなので…
すいません
それでは失礼します
どうも…
失礼します…

おばあさん「じいさんや それはきっと居眠りして夢でも見たんじゃろ」
おじいさん「いや、違うぞ ばあさんや わしゃ決して…」




おばあさん「きっと近いうちに子供を授かるんでしょう
ずっとお願していたんじゃけ
その夢はこうのとりのお告げに違いありませんよ
ねぇおじいさん」




「……」




おばあさん「次の神無月にはおじいさん
あの山の竹林にもう一度行ってみるんですよ




そして根元から数えて七つ目の節が輝いている竹を見つけたら
そうっとですよ
乱暴をしないで




その節だけを切りとって家まで持ち帰るのです

その日はきっと十五夜の…

お空にまあるいお月さまが見えますよ」




作品一覧に戻る