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雨の降る時 イメージイラスト

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雨の降るときあらすじ

山桜優希

今日子は、暗い性格の中学1年生だった。独り教室の隅の机に座っていた、クラスからは完全に孤立していた.そして、誰もいなくなった教室から独りで帰る今日子だった。

 そんなある日、3年生の桃井今日香と出会い、放課後に徐々におしゃべりをするようになっていた。

 そんな楽しい時間が続いている中で、今日香がある言葉を発してしまう。その瞬間、今日子と今日香との信頼関係は崩壊してしまう。そして、今日子は今日香から逃げるように学校を後にした。

 雨の降る中を傘もないまま家に帰り、母に叱られてしまう。そこで、今日子と母は言い争いになってしまった。こんな事は、初めてだった.これは、今日子の心の不安定さから来たものだけれど、いつもは、とても仲のいい、妹の明日香にも当り散らしてしまう.

 そして、心配してくれる明日香の言葉にも反発してしまい、明日香から貰った大事なキーホルダーが、制服のポケットから飛び出してしまい、とても仲の良い姉妹だったのに明日香との信頼関係も壊れてしまう.

 後日、今日香と最悪な別れ方をしたことの罪悪感を感じ、今日子はまっすぐに今日香に向かい合おうと思い、意を決して今日香と会う事を決めた.でも、今日子は今日香から姉妹だという衝撃的な事実を聞かされ今日香との別れを決意した.その時だった.今日香は今日子から激しく否定された事でショックを受け、シャボン玉が消えるようにその場から消え去ってしまった。

 それからだった。もう一度、今日香に会いたいと強く思った。今日子は教室の同じ所に座って放課後待ちつづけた。でも、無駄だった、今日子には会えず、週番の生徒に注意されてしまった.

 もう、駄目なんだと悟った時だった。今日香が現われてくれた。

 そこで、今日子は、今までの事を謝り、今日香にある大事でつらい告白をした。

 そのときだった。今日香は今日子の告白を止めさせよとしたけれど、今日子にその意思はなく話し始めた。それは、耳を覆いたくなるようないじめの告白だった。今日香は、今日子が二重に苦しむ姿を見たくなかった。そして、オネショの事。どれも今日子が心の奥底に静めてきたことばかりだった。でもそれは、今日香が聞かなくてはならないものだった。今日香は、話し終えた今日子を抱きしめていた.今までのつらい痛みを今日香が吸い込むように.

 そして、今日香は、昔出来た今日子の心に入り込むことに成功した。でも中は真っ暗闇。その中をとぼとぼ歩く小学校3年生時代の今日子に出会い、雨でずぶぬれになり疲れ果てていた今日子を抱きしめた。今日香は、今日子の濡れた衣類を全部脱がし、自分の着ていたセーラー服とスカーフで簡単な着替えをさせてあげた。そして、目を覚ました今日子と心の旅に出る。

でもついた場所は、最悪だった.火事で崩れ去ったような、二人の大切な家。今日香はこの家を取り戻すために、今日子に昔の姿を見せてあげるためにキャンディをあげた。

焼け崩れて見えたのは全て負の精神の塊だった。それを今日香は、後悔の念とともに泣きながら黒い影を剥がしつづけた。そして最後に残ったのは幸せのかけらだった。一生懸命集めた。家から出た時昔の姿を取り戻していた.そして今日子と家に入った時、今日子は中学生の姿になっていた。そこでふたりは紅茶を飲んだ。

 そして現実界に戻った今日香は、再度、今日子に会う約束をして別れた。

 翌日だった.明日香との関係も以前より良くなっていた。そして、席替えがあり菊池朝美と一緒になった。朝美と友達なることが出来クラスの中に溶け込んでいった.

そして、今日香と別れる日がやってきた。笑顔で最後まで見送るつもりだったのに涙がとめどなくあふれ、今日香の進んでいった道を歩き続けた。

その時、朝美と偶然出会い、今日子を慰めてくれた。それが救いとなり、今日子と朝美の友情はより強くなっていった。そして新しい生活が始まる予感がふたりに芽生えた。


山桜(旧名立花)先生のこの小説は
『遥か涙の向こう側』というタイトルに改編されて
文芸社より出版されました。
山桜先生、おめでとうございます。
興味のある方はぜひ購読しましょう。