宴都 T

copyright by wakisaka fumihiko




真夜中は変に目が冴えて
神経が異常に研ぎ澄まされるよね






うう ぶるるっ いかん、冷えて近くなってきた











ふー 今のは誰だろう?






まったく近頃の若い物は常識を知らん

まあ嫌なことは飲んで忘れましょう






木が喋った!何なんですかあなたたち

ただの桜じゃよ わしは染井、こっちは吉野
しかしお前にはその声が聴こえるようじゃな






珍しい奴だ お前も飲め









何です、
これは?






それは
”桜酒”と
いってな…







雨水じゃ











こんなもんで誰が酔えるか!

ほう?わしらは落ち着くがのー
人間の酒とは違うのか?

酒ってのは…




―数分後―



…ふむ その酒とやらをわしらも飲んでみたいのー

ああ ほんにのー






お前達は明日宴会があるのじゃろう
その時わしらにも飲ませてくれんか?

は?

それがええ、頼んだぞ

え―――っ?




―翌日―


じゃ乾杯ー

カンパーイ!





















おいおい何捨ててんだ

いや、虫が入ってたんで…






もったいないなー
さっさと飲まないからー



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