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copyright by wakisaka fumihiko


−そして数日後、加賀の自宅−


加賀:うーん今日も燕が待っているんだ
風邪ぐらいで休む訳には…





加賀:とは言え今日はちょっと無理か…





窓:コンコン
加賀:んっ?





加賀:燕!





燕の母:あなた方が
氷を分けて下さったおかげで
息子の熱中症も治りました
本当にありがとうございました
もうお目にかかることもないでしょうが
どうか御達者で…





加賀:へへ…
俺の為に歌ってくれてんのかなァ





そんな加賀のもとへ
燕のような長い黒髪を
持つ女性が訪れてきたのは
その日の昼過ぎの事である





女性:こんにちは
私この近くのマンションに住む鴨川と申します

実は私の家のベランダに燕の巣があるんですが、

その燕の子が私が旅行に行っている間に
熱射病にかかってしまったらしいんです





鴨川:そのことに思い至って
怖る怖る巣を覗いてみると

なんと大量の氷の上で
若鳥が涼しそうに眠っていたんです





鴨川:氷が不ぞろいなのと
かすかに魚の臭いがしたので
もしやと思い

魚市場に来て
多古さんという方から
あなたの話を聞きました





鴨川:燕の子が救かったのは
あなたがいてくれたおかげです

これはお礼のしるしに旅行のお土産です





鴨川:ありがとう!





燕の母:私達にもあんな頃があったわねー
燕の父:あん時ゃ良かった……



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