恋愛名言集
「恋愛主義占い」のトップページで紹介している恋愛に関する名言のバックナンバーです。


「自分だけが愛されることを望むのは構わないのですよ」とその哲学者は言った。「二人のものが愛し合うというのが愛の本質で、その中に他のものが入って来る余地はないのですから。ただ、それが間違っているのは時間的な立場から見た場合で、いつまでも自分だけが愛されることを望んではいけないのです」――リンドバーグ夫人『海からの贈物』(新潮文庫)

アカデミーからのコメント:なんだか浮気の言い訳みたいだけど、ポイントは愛の形は変わっていく、ということのようです。日本ではよく恋から愛へ、そして情へ、なんてことが言われたりしますが、この本ではそれがもっと詩的に、さまざまな貝の形を使って表現されています。結婚の最初の段階は美しい「日の出貝」、やがて「牡蠣」のように成長していく、といった具合。ちなみに著者は大西洋横断飛行に成功した飛行家チャールズ・リンドバーグの妻で、彼女も飛行家です。


墓場ではじめて同じベッドにつくのを悲恋という。――リヒテンベルク『リヒテンベルク先生の控え帖』(平凡社ライブラリー)

アカデミーからのコメント:数多くのアフォリズムを残した18世紀ドイツの物理学者。ユーモアいっぱい、と言いたいところですが、現代の我々からすればなんだか少しポイントがずれているところが笑えます。先生はあまり恋愛体質な方ではなかったようで、恋愛についての名言はあまり多くありません。「自分に惚れ込んでいる人は、利点をもっている。少なくとも愛において恋敵を恐れる必要がない」、「長い幸せは、すでにその長さによって意味を失う」。


これほど大きな期待とともに始まりながら決まって失敗に終わる事業など、愛の他には見当たらない。――エーリッヒ・フロム『愛するということ』(紀伊国屋書店)

アカデミーからのコメント:なんとなく愛以外にもそういう「事業」はたくさんある気がしますが、このあたりはキリスト教文化圏の感覚ならではなのかもしれません。この本の原題は”The art of loving”(愛する技術)で、自分が「愛する」ことがポイントです。愛は相互的なもんだ、なんてノーテンキなことは認めらません。では「期待」とは他者に向けられたものなのか、自分に向けられたものなのか……。そのあたりを突きつめても仕方がないようにも思えますが、なんせ生真面目な本なのです。


愛―相手から無料で利益を引き出すのに、相手が対価以上のものをこちらから獲得したと錯覚し、トクしたと思わせるための呪文の一種。――『悪魔と魔女の辞典』

アカデミーからのコメント:直接の引用は米原万里『魔女の1ダース』(新潮文庫)より。なんでも米原氏がロシアで魔女の集会に出席して「魔法使い」からもらった本なのだそうです。さらに、「ただし、呪文を唱えるを唱える当人のほうが錯覚し、自分のほうが損をしていると思いこむ場合も多い。「無償の愛」などとわざわざ定語をつけたりすることがあるように、本来は有償なものと考えられている」と続きます。まあ、よくあるシニカルな見方ではありますが、ユーモアが感じられて好感がもてます。


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