シーツには皺もなかった

--『おねしょの書』(パジャマ教の聖典)より

シーツには皺もなかった

昔の前、はじまりの最初。
まだ朝はなく、昼もなかった。
長い夜だけがあり、シーツには皺もなかった。
布団のなかは温かく、おそろしい火はなかった。
枕はちょうどよい堅さで、つらい肩こりもなかった。
ゆったりとした鼓動や吐息は感じられたが、
耳をつんざく大きな声はまだなかった。

夢だけがあり、パジャマの神さまも夢をみていた。
はじめに神さまはおつくりになった。そして歌った。
雲のような軽やかなリズム。海のような音色。
メロディーと言葉は、まだひとつのもの。
光あれと歌うと、光があった。
雨ふれと歌うと、雨がふった。
風ふけと歌うと、風がふいた。

*パジャマ教の信者は全世界に約10万人(教団発表)というが、恐らく誇張された数字であろう。


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