ある女流詩人伝

池内紀『ある女流詩人伝』

ユーリエ・シュラーダー。ずいぶん前にドイツでちょっと風変わりなエロチックな詩を書いて新聞に発表したりした人らしい。
魅力的だがどこかピントがはずれた感じは、たぶん定型詩という伝統に忠実だったせいもあるだろう。もちろん彼女の人格的な魅力も。
言葉が詩になるとき、一体何がそこで起きているのか。一人のごく平凡な詩人の人生を通してそれを描いた素敵な本だ。複雑な文学論とか、破天荒で偉大な詩人の人生のなかにはない何かがあって感動してしまう。
ちょっと忘れ去られたかけた、そしてものすごく偉大というわけでもない人々の文章を「再発見」して魅力的に紹介するのは、池内紀の得意技?のひとつだ(もちろん訳もいい)。早川良一郎、そしてリヒテンベルク先生……教えてくれてありがとうございます。

 


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