トラップの重要性

上手と下手については、もう何度も書いた気がする。
上手はどうしても薄味、退屈になりがちだという下手の自己弁護みたいな話。
とはいえ、これは下手そのものが好きという話ではないので、結構面倒だ。
結局、他が同じなら上手なほうがいいよね、とかいい加減な結論になりがちだ。

四方田犬彦『「かわいい」論』
上手というかなんというか、そつがない感じだ。
テーマもいいし、最初はぐっと引き込まれる。でも、なんか慣れた技でいなされて、おしまい。
よくよく考えるとテキトーな感じもするのだが、そこを技術でカバーしているわけだ。
そうでなければ、こんなにたくさんの本は書けないだろう。

市之瀬敦『砂糖をまぶしたパス―ポルトガル語のフットボール』
こちらは、テーマにはすごく興味があり(ポルトガル語圏のサッカー事情)、装丁もかわいいのだが、文章が非常に読みにくて困った本。
文章が下手だからといって味があるというわけでもない、ということを示す例でもある。
それはそれとして、サッカー日本代表がなぜ強くなれないかという分析については、妙に私と意見が一致する。
それは、トラップの下手さである。
つまり、基本中の基本を無視して高度な技術を磨いてもだめという話であり、よくよく考えてみると、自分の耳も痛い……。


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