恥ずかしい話だが、ときどき「これまで何曲訳したんだろう?」と思って数えてみたりする。
途中でボツになった曲もあるし、どう考えてもボサノヴァとは呼べない曲もあり、そもそも数ははっきりしないのだが、このあいだ数えたら99曲あった。
それで、「次は100曲目にしよう」と思った次第。
意外にそういう節目が好きなのかもしれない。
さて、それなら100曲目はやはりジョアン・ジルベルトのレパートリーにしようと思い、次の3曲を候補とした。
Ave Maria no Morro (きっと詩が美しいにちがいない)
Morena Boca de Ouro (いかにもジョアンらしい曲)
Eu Sambo Mesmo (大好きな曲)
結局、ひとつめと3つめはなかなかうまくいかないので、2つめに集中した。
これは素敵な女性の踊る姿を歌いながら、いつのまにかサンバ讃歌になっているようだ。
かつ、追いかけても決して自分のものにできない感じであり、この凄いようでどうでもいい節目には、ちょうどいい気がしたのだ。
しかし、最後のところでかなり苦戦してしまった。
モレナとびきりの可愛い子 笑顔も輝いて
見たことがないような
ジンガ踊りはまさに サンバ 君が好きさ
誰もが振り向くその姿 男たちの悩み
聞いたことがないような ジンガ魔法のリズム
サンバ どこへ行くの
胸の鼓動 パンデイロ
まるで奇跡のサンバ奏でる
サンバ君が誘い サンバ君は逃げる
アモール 愛はまた生まれる
そしてサンバは続く 心奪い 傷つけて
モレナここに君を愛し 見つめる 哀れな僕がいる
いまだに、「そしてサンバは続く」は「そしてサンバよ続け」のほうがいいかな、
などと思ったりするし、あちこちの「てにをは」もピシっとこない。
もしかしたら、かなり失敗作なのかも。
付け加えると、「ジンガ」は「千鳥足」「揺れ」「フェイント」。
サッカーやダンス、音楽の「奥義」かもしれないもの。
女性も音楽も永遠に謎ということにして誤魔化し、私の人生も続くのである。
いや、やっぱり「続け」にしようかな……。
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