オリンピック


アテネ・オリンピック。テレビで二人のメダリストがインタビューを受けていた。「あなたにとってオリンピックとは?」の質問にハンマー投げの室伏選手は 「平和」と答えた。彼は今も続くテロや紛争を心配している様子だった。もう一人、女子マラソン選手が先に「アスリートにとって最高の舞台」とごく真っ当に 答えた後だけに、ちょっと意外な展開である。質問していた女子アナは、やや強引に「そうですよね、一つのルールでみんなが戦うというのは『平和』ですよ ね」とコメントし、その場を終えた。室伏は何も言わなかった。ただ、ちょっと複雑な笑顔が印象的であった。そう、言うまでもなく問題は、「一つのルール」 ではおさまらない「みんな」がいることなのである。だからこそ室伏は「オリンピック=戦い」という図式に疑問を投げかけたかったに違いない。そんなわけ で、室伏の苦悩は深い。なぜなら、彼はたぶん、メダル獲得競争を煽る日本人より、あの図体のデカいハンガリー人を愛してしまっているからだ。彼の望む「平 和」は遠いのである。(2004.8.28)

追記:写真は北海道の有名な「幸福駅」にて。


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